業界ニュース

【2026年11月第1週】リハ職3協会が介護報酬改定へ17項目の要望、最初は処遇改善

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3協会が、令和9年度の介護報酬改定に向けて17項目の要望書を厚生労働省に提出しました。最初に挙げたのはPT・OT・STの処遇改善です。重点項目の訪問リハの診察要件は、先週紹介した厚労省の案と向きが違って見えるため、並べて整理しました。あわせて世界作業療法の日のテーマも紹介します。どれも要望や案の段階です。各ニュースの「起こりそうな変化」は現時点での見立てです。

2026年10月15日 提出・10月21日 公表(リハビリテーション専門職団体協議会)

01リハ職3協会が介護報酬改定へ17項目の要望|最初に挙げたのはPT・OT・STの処遇改善

日本理学療法士協会・日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会でつくるリハビリテーション専門職団体協議会が、令和9年度の介護報酬改定に向けた要望書を、厚生労働省の老健局老人保健課に提出しました。

3協会の会長がそろって説明にあたっています。要望は17項目。そのうち8項目が【重点】とされていました。

お金に関わる要望(1・2)

  • 介護領域における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の処遇改善
  • 経済・物価動向を踏まえたリハビリテーションの報酬の引き上げ

【重点】として挙げられた8項目

  • 訪問リハビリテーションの推進に向けた診察要件の見直し
  • 中山間・人口減少地域での訪問の理学療法・作業療法・言語聴覚療法の提供体制の拡充
  • 中山間・人口減少地域で、自立支援・リハ機能を強化した複合型サービスの評価
  • 訪問看護ステーションからリハ専門職が訪問する訪問看護の適切な評価
  • 特別養護老人ホームに併設するショートステイの利用後の状態悪化予防
  • リハ専門職が外から関わる生活機能向上連携加算の、提供施設と連携施設の拡大
  • 生活機能向上連携加算の施設要件に、看護小規模多機能型居宅介護を追加
  • 通所介護などでのADL維持向上の取り組みのさらなる推進

このほか、自助具の採型・採寸や試作の技術の評価、生活期の装具の継続的な評価、リハ専門職とケアマネジャーの同行訪問アセスメントの加算の新設なども並んでいます。

要望の段階で、決まったことではありません。要望書の本文は公開されておらず、ここでは協会が公表した項目名までを紹介しています。

🔭 起こりそうな変化

最初に挙がったのが処遇改善でした。10月第2週号で紹介したとおり、介護の現場のリハ職の賃上げ額は職種別で最も低い水準です。3協会がそろってこの順番で出したことには、意味があると思います。重点項目を見ると、訪問、中山間地域、施設に外から関わる仕組みなど、病院の外でリハ職が動ける範囲を広げる要望が並んでいます。課題はありますが、在宅や地域の分野で求められる役割は、これからも広がっていきそうです。12月にかけて改定の中身が固まっていくので、注視していきたいところです。

前の号:介護分野の賃上げ額、リハ専門職は月8,300円

【2026年10月第2週】介護分野の賃上げ、リハ専門職が最も低い →

2026年9月〜10月(意見交換会・要望書・第271回 介護給付費分科会)

02訪問リハの診察、現場の要望と国の案で向きが違う|「別の医師でも」と「事業所の医師を基本に」

訪問リハで誰が診察して指示を出すのか。この1か月で、方向の違う2つの話が出ています。

リハ職3協会の要望

9月の意見交換会で、リハ職3団体は、別の医療機関にかかりつけ医がいる利用者が、かかりつけ医と事業所の医師の2回診察を受ける「二重診療」の見直しを求めていました(9月第4週号)。

10月15日の要望書でも、「訪問リハビリテーションの推進に向けた診察要件の見直し」を、【重点】項目の最初に挙げています。

厚労省の案(10月19日)

一方、介護給付費分科会で厚労省が示した案は、事業所の医師が診察できないときに別の医療機関の医師の診察で算定できる仕組みを、猶予期間を置いたうえで縮め、事業所の医師の診察による訪問リハを基本にするというものでした(10月第4週号)。

あわせて、事業所の医師が対面で診察できないときのオンライン診療の使い方を明確にする案も出ています。

どちらも要望・案の段階です。要望書の本文が公開されていないため、3協会が具体的にどう見直したいのかは、9月の意見交換会の資料からの読み取りにとどまります。

🔭 起こりそうな変化

現場が求めるのは、かかりつけ医がいる人も訪問リハを使いやすくすること。国が求めるのは、医師がきちんと状態を見たうえでリハビリが行われること。目指すところは同じでも、入口の作り方が違います。オンライン診療が、その間をつなぐ手段になる可能性があります。訪問で働く人、これから考えている人にとっては、どこに落ち着くかで事業所の体制が変わってくる話です。12月の取りまとめまで注視していきたいところです。

前の号:訪問リハ、事業所の医師による診察を基本に

【2026年10月第4週】PT・OT法、約60年ぶりの抜本改正へ議連にWG →

2026年10月27日(世界作業療法の日)

03世界作業療法の日、2026年のテーマは「Participation Matters(参加が大切)」

10月27日は、世界作業療法士連盟(WFOT)が定める世界作業療法の日でした。

2026年のテーマは「Participation Matters」。WFOTはこのテーマを、こう説明しています。

Participation Matters highlights the role of everyday activities, roles and routines in supporting health, wellbeing and quality of life.

=毎日の活動や役割、日々の習慣が、健康や幸福、生活の質を支えていることに光を当てるテーマ

作業療法は、身体・認知・感情・環境・社会のさまざまな要因に働きかけて、その人がしたいこと、する必要があること、期待されていることへの参加を後押しする、とも書かれています。

日本作業療法士協会も、公式サイトでWFOTの関連情報を案内しています。

🔭 起こりそうな変化

10月第3週・第4週号で紹介したとおり、国の会議では、通所リハも訪問リハも筋力と歩行に偏っていて、家での活動や参加への関わりが一部にとどまっているというデータが出ていました。世界のテーマと、国内の報酬改定の方向が、同じ「参加」を向いています。生活の動作や役割に関わる力は、OTに限らずリハ職全体で求められていきそうです。今学んでおくことは、無駄にならないはずです。

前の号:通所リハは筋力・歩行に偏り、ADL・IADLは一部

【2026年10月第3週】業務効率化に取り組む病院を国が認定へ、リハ職の記録時間も目標に →

今号を通して見えること

3協会の17項目を並べると、お金(処遇改善・報酬の引き上げ)と、病院の外で動ける範囲(訪問・中山間地域・施設に外から関わる仕組み)の2つに分かれます。

一方で、訪問リハの診察のように、現場の要望と国の案が同じ方向を向いているとは限らないことも見えてきました。どちらも「必要な人に、きちんとしたリハビリを届けたい」という点では同じです。その入口をどう作るかが、これから決まっていきます。

世界作業療法の日のテーマは「参加」。国内の改定の方向とも重なっています。課題はあっても職域は広がりつつある。12月の取りまとめに向けて、引き続き追いかけていきます。

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今号の内容に関連して、選択肢を整理した記事です。

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