PT・OT・STの離職率は高い?
1年で約10%、職場ごとの差と辞めたくなる理由をデータで
最終更新:2026年10月22日
同期が辞めた、先輩が転職した。リハ職は辞める人が多い、と感じたことがある人は多いと思います。
実際の離職率はどのくらいなのか。論文と国の統計を、元の資料で確かめて整理しました。職場によってどれだけ違うのか、どんな不満が離職につながりやすいのかもまとめています。
この記事のポイント
- PT・OT・ST 1,701名を1年間追った研究では、1年以内に辞めたのは9.8%
- 医療・福祉の業界全体の離職率は14.3%、全産業では13.7%(いずれも2025年)
- 職場で差が大きい。PTの調査では、医療は10.2%、介護福祉は18.8%
- 平均勤続年数は8.4年と短めだが、平均年齢が若いことも理由のひとつ
- 離職につながりやすいのは、給料より「やりがい」や「成長の機会」への不満
1年で辞めたのは約10%|PT・OT・STの最新の研究
PT・OT・STに絞った離職率は、国の統計にはありません。いちばん新しく、3職種をそろえて調べているのが、2025年に作業療法の学術誌に載った研究です。
全国30施設で働くPT・OT・ST 1,701名に2023年の春にアンケートを行い、翌年3月までに辞めたかどうかを追いかけました。
| 職種 | 対象 | 1年で離職 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 作業療法士 | 672名 | 64名 | 9.5% |
| 理学療法士 | 795名 | 82名 | 10.3% |
| 言語聴覚士 | 234名 | 21名 | 9.0% |
| 3職種の合計 | 1,701名 | 167名 | 9.8% |
※ 職種ごとの割合は、論文の表の人数から計算しました。対象は作業療法士協会の会員が25名以上いる、比較的大きな施設(ほとんどが病院)です。小さな職場では数字が違う可能性があります。
ほかの業界と比べると
厚生労働省の雇用動向調査(2025年)では、1年間の離職率は次のとおりでした。
- 医療・福祉の業界全体 14.3%(正社員などの一般労働者では13.6%)
- 全産業 13.7%(一般労働者では11.4%)
数字だけ見ると、リハ職の約10%は低めに見えます。ただし、研究と国の統計では対象も数え方も違うため、同じ物差しで比べることはできません。「リハ職だけが特別に辞めやすいわけではない」くらいに受け取るのが妥当です。
職場によって大きく違う|介護福祉は医療の約2倍
職場ごとの差を示したデータもあります。日本理学療法士協会が施設にたずねた調査で、2016年に厚生労働省の会議で報告されました。理学療法士の1年あたりの離職率です。
高度急性期(105施設)
6.8%
急性期(440施設)
9.4%
回復期(270施設)
10.7%
慢性期(231施設)
12.6%
特別養護老人ホーム(68施設)
9.0%
訪問看護(96施設)
17.3%
通所リハ(51施設)
19.0%
通所介護(115施設)
19.6%
介護老人保健施設(313施設)
20.5%
訪問リハ(7施設)
37.4%
青=医療(平均10.2%)、オレンジ=介護福祉(平均18.8%)。平成25〜27年の3年間の平均で、施設が回答した離職者数÷在籍者数です。
医療の中でも、急性期より回復期、回復期より慢性期と、少しずつ高くなっています。介護福祉の領域は、特別養護老人ホームを除いて17〜20%台でした。
訪問リハは37.4%と突出していますが、回答したのは7施設だけです。数字は大きく見えても、これだけで「訪問は辞めやすい」とは言えません。
介護福祉の職場は、リハ職が1〜2人だけということも少なくありません。相談できる相手が少ない、教育の仕組みがない、といった職場の事情が数字に出ている可能性があります。訪問の働き方の実際は、病院から訪問リハへの転職にまとめています。
平均勤続年数は8.4年|短いのは「若い職種」だからでもある
離職のしやすさを見るもうひとつの目安が、今の職場で働いている年数です。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)では、こうなっていました。
| 平均年齢 | 平均勤続年数 | |
|---|---|---|
| PT・OT・ST・視能訓練士 | 36.2歳 | 8.4年 |
| 働く人全体 | 44.4歳 | 12.7年 |
※ 正社員などの一般労働者・企業規模10人以上。統計ではPT・OT・ST・視能訓練士がひとつの区分にまとめられています。男性は9.2年、女性は7.6年でした。
リハ職は全体より4年ほど短くなっています。ただ、平均年齢も8歳ほど若い。養成校が増えて若い人が多い職種なので、そもそも長く勤める時間がまだない人が多い、という面もあります。
勤続年数が短い=辞めやすい、とそのまま読まないことが大切です。
離職につながりやすいのは、給料より「やりがい」への不満
最初に紹介した研究では、40項目の満足度をたずねて、どの不満が実際の離職につながったかも分析しています。
満足度がいちばん低かったのは「賞与などのボーナス」と「時間外勤務手当の制度」でした。お金への不満は、3職種とも大きいことが分かります。それでも、離職とのつながりが強く出たのは、次のような項目でした。
3職種に共通
- 自分の仕事に対する価値観
- 仕事の中での挑戦
仕事にやりがいを感じられるかどうか。満足度が低い人ほど、1年以内に辞めやすい傾向でした。
理学療法士
- 患者さんの評価の業務の割合
- 仕事の中での挑戦
- 医療専門職として成長する機会
成長に関わる項目が多く並びました。論文では、評価に伴う書類の業務も含まれている可能性に触れています。
作業療法士
- アイデアを展開し、実行する機会
- カルテを読んだり検査所見を確認する時間
- 直接の介入に使う時間の割合
- 時間外勤務手当の制度
自分の考えを形にできるか、患者さんに向き合う時間がとれるか、が目立ちました。
言語聴覚士
- 自分の個人的な事情への配慮
- 上司からの評価
- 自分の職種としての達成感
多くの項目で、離職との関係が強く出ていました。人として配慮され、認められているかが大きいようです。
給料の不満は多くの人が抱えていても、それだけで辞める人は限られる。やりがいや成長、自分の考えを形にできるかどうかが満たされないと、離職に結びつきやすい。そんな傾向が見えます。
※ この研究では基本給そのものは質問に入っていません。結婚・出産・引っ越しなどの事情も考慮されていない、と論文で限界として書かれています。
辞めたいと感じたら、まず不満の種類を分けてみる
データから見えるのは、同じ「辞めたい」でも中身がいろいろあることです。
- 成長や挑戦の機会がない → 分野や職場の規模を変えると解決しやすい
- 患者さんに向き合う時間がない → 記録や書類の負担、人員体制の問題
- 評価されない、事情に配慮してもらえない → 上司や職場の文化の問題
- 給料が低い → 職場ごとの差もあるが、業界全体の課題でもある
職場を変えれば解決するものと、どこに行っても残るものがあります。分けて考えると、転職するかどうか、どんな職場を選ぶかがはっきりしてきます。
自分が今どの段階にいるかは、転職を考え始めた人が見せる7つのサインも参考になります。
離職の多さは、求人票には書かれていない
同じ分野でも、離職率は職場によって大きく違います。けれど、人の入れ替わりの多さや辞めた人の理由は、求人票には書かれていません。見学や面接でも聞きにくいところです。
そうした職場の内側の事情は、施設を直接取材している転職エージェントが把握していることがあります。
PR
レバウェルリハビリ
PT・OT・ST専門の転職支援。17,000件以上の施設取材をもとに、職場の良い点も大変な点も教えてもらえます。スタッフの定着や教育の体制など、求人票では分からないことを先に確かめてもらう使い方もできます。
レバウェルリハビリを見る※ 施設取材の件数は、レバウェルリハビリの公式サイトの表記によります(2026年10月10日に確認)。
見学で何を聞けばいいかは、施設見学・面接の逆質問で聞くことにまとめています。「長く勤めている方はどのくらいいますか」と聞くと、離職の多さを角を立てずに確かめられます。
出典
- 澤田辰徳ほか「リハビリテーション職種の職務満足度の特性と離職リスクにおける縦断研究」作業療法44巻1号(2025年)
- 厚生労働省 第2回 理学療法士・作業療法士分科会(2016年8月5日)資料2「理学療法士を取り巻く状況について」P9
- 厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概況」表4-2
- e-Stat「令和7年 賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」第1表
- 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査の概況」
※ いずれも2026年10月22日に原文を確認しました。