【2026年9月第4週】処遇改善加算、
リハ職への配分は34.3%
来年度の介護報酬改定に向けた意見交換会で、リハ職3団体が2回続けて登壇しました。出てきた資料には、介護職員等処遇改善加算を取得した施設のうち、PT・OT・STに配分していたのは34.3%という数字が入っています。看護職は51.5%でした。あわせて、訪問リハの「二重診察」の見直し要望、特養にリハ職が関わる仕組みがない話、ショートステイ利用後に状態が悪化する印象があると答えたPTは74.6%という調査結果を、一次資料つきで整理しました。いずれも要望の段階であり、決まったことではありません。各ニュースの「起こりそうな変化」は現時点での見立てです。
2026年9月16日 開催(第267回 社会保障審議会 介護給付費分科会)
01処遇改善加算、リハ職に配っていた施設は34.3%|看護職は51.5%
処遇改善の加算があること自体は、みんな知っているとおりです。介護職員等処遇改善加算は、配分の対象にPT・OT・STも含まれています。
ではどれだけ配られているのか。リハビリテーション専門職団体協議会が分科会に出した資料に、その数字がありました。
令和6年度、加算を取得した施設での配分の実施率
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 34.3%
- 看護職 51.5%
- 生活相談員・支援相談員 50.8%
資料はこれを「職種間の格差を認めている」と書いています。
3団体の調査ではどうか
令和7年度の3団体調査では、介護領域で現金給与総額の引き上げが実施されたのは43%。半数以上の施設で引き上げがされていないことが示された、とされています。
ベースアップの実施率は全体の11%。令和6年度改定をまたぐ2か年の比較では、ベースアップが実施されなかったと答えた人が39.6%で最も多く、次いで5,000円未満が33.5%でした。
年齢層による違いも書かれています。若手層では月額給与の改善が大きい一方、30代後半から40代前半では年収の伸びが停滞しており、賃上げの効果が十分に波及していない、という分析です。
3団体が求めていること
- 3療法士を配分の対象として制度上はっきり位置づけ、対象外とされない仕組みにすること
- 加算を恒久的なものにし、収益を基本給の昇給に反映させること
- 賃上げの上昇率が全産業平均以上になるよう原資を確保すること
これは意見交換会で出された要望です。決まったことではありません。実際にどうなるかは、今後の議論と来年度の改定で決まります。
🔭 起こりそうな変化
加算の枠があっても、配分は施設ごとの判断で決まります。転職先を見るときに「処遇改善加算を取っているか」だけでなく「リハ職にどう配分しているか」まで聞いておくと、入職後の実感が変わる可能性があります。求人票では分からない部分なので、面接で確認する項目としては具体的です。
賃金構造基本統計調査の数字で確認する
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2026年9月16日 開催(第267回 社会保障審議会 介護給付費分科会)
02訪問リハの「二重診察」を見直したい|別の医療機関の医師が指示を出せるように
訪問リハビリテーションでは、事業所の医師が利用者を診察し、計画を立てて指示を出すのが原則です。
そのため、別の医療機関にかかりつけ医がいる場合、利用者は2つの診察を受けることになります。かかりつけ医の診療と、計画を作るための事業所医師の診療です。資料はこれを「二重診療」と呼んでいます。
事業所医師がやむを得ず診療を行わない場合は、一定の要件を満たせば「リハビリテーション計画の作成に係る診療未実施減算」として、307単位/回から50単位を減算する形で算定できます。
3団体が求めていること
研修の修了などを満たした別の医療機関の医師が継続的に医学的管理をしている場合、その医師がリハビリの指示を出せるようにすること。条件は3つ示されています。
- 別の医療機関で計画的な医学的管理を行う医師が、研修の修了等(現行の診療未実施減算と同じ要件)を満たしていること
- 訪問リハ事業所に、研修の修了等を満たした理学療法士等を配置すること
- 事業所の医師と理学療法士等が適切に連携すること
あわせて、事業所医師の診療についてオンライン診療ができるかどうかを通知などで明確にし、全国で統一した運用ができるようにすることも求めています。
現行では可否が明記されていないため対面が選ばれることが多く、移動時間の制約がある、というのが挙げられている理由です。
🔭 起こりそうな変化
通っている人の負担と、医師の負担の両方を理由に挙げた要望です。仮に通れば、訪問リハの事業所が医師を確保しにくい地域でもサービスを出しやすくなります。訪問分野で働くことを考えている人にとっては、求人の出方が変わりうる話として見ておく価値があります。
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2026年9月14日 開催(第266回 社会保障審議会 介護給付費分科会)
03特養にリハ職がいない|外から関わる仕組みが制度にない、という指摘
リハ職が病院と老健に偏っていることは、あらためて言うまでもないと思います。
9月14日の資料で3団体が書いていたのは、その先でした。いない施設に外から関わるための仕組みが、制度にないという指摘です。
特養や居住系サービスでは個別機能訓練加算によって機能訓練の実施が評価されていますが、リハ専門職の配置は施設数と比べて極めて少ない、とされています。
リハ職の評価・助言が要る場面として挙げられているもの
- 肺炎、心不全、尿路感染症、転倒による骨折などで入院した人が施設に戻ったあとの、生活機能の維持・回復支援
- 治療用装具・補装具を作り直すか更新するかの判断
- 身体の状態に応じた車椅子など福祉用具の調整
施設からの依頼を受けて外部のリハ職が指導している事例はある。ただ、その連携や助言・指導を評価する仕組みが現行制度にはない、というのが資料の主張です。
そのうえで、リハ職が配置されていない特養や居住系サービスで、協力医療機関などに所属するリハ職と連携する体制を整備した場合に評価を行うことを求めています。
これも要望です。配置を増やすのではなく、関わり方を増やす方向の提案だという点が、これまでの人員配置の議論とは違うところです。
🔭 起こりそうな変化
仮に評価の枠ができれば、病院や老健に所属したまま特養や居住系に関わる働き方が生まれます。常勤で施設に入るのとは別の形で、リハ職の勤務先の選択肢が増える可能性があります。ただし要望の段階なので、今すぐ求人が動く話ではありません。
病院の外で働くという選択肢
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2026年9月14日 開催(第266回 社会保障審議会 介護給付費分科会)
04ショートステイ利用後に「落ちた」と感じる人は74.6%|加算の算定率は6.4%
ショートステイから戻ってきた利用者を見て、落ちたな、と思ったことがある人は少なくないと思います。
その感覚を調べた数字が資料に載っていました。利用後に状態が悪化する印象があると答えた割合です。
- 介護支援専門員 71.9%
- 理学療法士 74.6%
悪化すると思われる利用期間は「5日以上」と答えたものが約6割。要支援者より要介護認定者のほうが、悪化する印象があると答える割合が高かったとされています。
なぜ手が打てないのか
資料が挙げているのは制度と規模の問題です。短期入所は5日以内の利用が多く、ADL維持等加算のような加算の算定が難しい。10床程度の小規模施設が多く、リハ職の常勤配置が難しいため個別機能訓練加算の算定も難しい。
個別機能訓練加算の算定率(事業所ベース)
- 通所介護(Ⅰ)イ 47.4%
- 特定施設入居者生活介護(Ⅰ) 30.9%
- 介護老人福祉施設(Ⅰ) 28.2%
- 短期入所生活介護 6.4%
同じ名前の加算でも、サービスによってここまで差があります。3団体は、機能訓練体制加算・個別機能訓練加算の増点と、本体施設との兼務を認めるなどの基準緩和を求めています。
🔭 起こりそうな変化
現場の印象と制度の届かなさが、同じ資料のなかで並んでいます。仮に基準が緩和されれば、ショートステイでリハ職が関わる場面は増えます。短期入所を持つ施設で働く人にとっては、業務の中身が変わりうる話です。
どの分野で働くかで仕事の中身が変わる
作業療法士3年目の現在地|分野で変わる仕事と、やりたいことの置き場所 →
今号を通して見えること
今号の4本は、すべて同じ2日間(9月14日と16日)に出た資料から取っています。来年度の介護報酬改定に向けた意見交換会で、リハ職3団体が居住系・施設系と医療系の2回に登壇しました。
並べて読むと、要望が2つの方向に分かれていることが見えてきます。ひとつはお金の話——処遇改善加算がリハ職に届いていない、報酬を引き上げてほしい。もうひとつは関わり方の話——訪問リハの二重診察をなくしたい、施設にリハ職がいなくても外から関われるようにしたい。
そして34.3%という数字は、加算があることと、自分の給与明細が変わることは別だという実感を、そのまま裏づける形になっています。制度に枠ができても、配るかどうかは施設が決める。今号はその距離が、いくつかの数字で見えた回でした。
自分のキャリアに引きつけて読む
今号の内容に関連して、選択肢を整理した記事です。
制度が変わっても、動けるかは準備次第
働ける場所や役割が広がっても、「制度上は可能になった」で止まることは少なくありません。
臨床の学び直しも、臨床の外で使えるスキルも、いまはオンラインで学べます。
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