「転職したいけど、リハビリ職でも転職って普通のことなんだろうか」と感じたことはありませんか?
データを見ると、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)は、転職が珍しくない職種であることがわかります。そしてその背景には、同じ資格を持っていても職場によって働き方がまったく異なるという、この仕事ならではの特徴があります。
データで見るリハビリ職の転職事情
平均勤続年数(1つの職場で働く年数の平均)
出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(平成30年)
全職種の平均勤続年数が約11年であるのに対し、PTは約6.1年、リハビリ職全体でも約7.3年と、大幅に短くなっています。つまり、リハビリ職は平均して6〜7年で職場を変えている計算になります。
もちろん「ずっと同じ職場で働く人」と「数年ごとに転職する人」が混在しているので、全員が6年で辞めるわけではありません。ただ、転職が決して珍しいことではないのは確かです。
職場の種類によって、離職率は大きく異なる
| 職場の種類 | 離職率(目安) |
|---|---|
| 医療施設(病院・クリニックなど) | 約10.2% |
| 介護・福祉施設(老健・デイなど) | 約18.8% |
| 訪問リハビリ | 約37.4% |
出典:セラピストプラス(マイナビコメディカル)調査データをもとに編集部作成
特に訪問リハビリの離職率は約37%と非常に高く、医療施設の3倍以上です。これは「訪問リハビリが悪い職場」ということではなく、働き方のスタイルが他の職場と大きく異なるため、「合う人・合わない人」がはっきり分かれやすいことが背景にあります。
訪問リハビリの離職率が高い理由
訪問リハビリは、患者さんの自宅や施設に出向いてリハビリを行います。病院や施設とは異なり、1人で判断しなければならない場面が多く、相談相手がそばにいないという環境になりがちです。
- ▶移動時間が多く、体力的・精神的な負担が大きい
- ▶職場の仲間と顔を合わせる機会が少なく、孤独を感じやすい
- ▶緊急時の対応を1人で判断しなければならないことがある
- ▶利用者宅の環境に合わせた柔軟な対応が常に求められる
一方で、「患者さんの生活の場に入り込める」「自分のペースで動ける」という点を魅力に感じて長く続ける方も多くいます。離職率の高さはあくまで「向き・不向きがはっきりしている」ことの表れです。
同じ「PT・OT・ST」でも、職場が変われば働き方はこんなに違う
転職を考えるとき、「今の職場が嫌だから辞めたい」という気持ちになりがちですが、実は「どんな働き方が自分に合っているか」を見つけるチャンスでもあります。同じ資格を持ちながら、職場によってこれだけ違う仕事ができるのは、リハビリ職ならではの魅力です。
急性期病院
- ・処置直後からリハビリ開始
- ・医師・看護師との連携が密
- ・スピード感のある業務
👤 多職種連携・医療の最前線に関わりたい方
回復期病院
- ・集中的なリハビリが中心
- ・患者の回復を長期で見届けられる
- ・チームアプローチが強い
👤 患者の変化をじっくり追いたい方
介護老人保健施設(老健)
- ・在宅復帰を目標としたリハビリ
- ・比較的ゆったりしたペース
- ・利用者との関係が長期になりやすい
👤 高齢者との関わりを大切にしたい方
訪問リハビリ
- ・患者の自宅・生活環境でリハビリ
- ・1人で判断する場面が多い
- ・移動が多い・スケジュール管理が重要
👤 自立して動ける環境・生活支援に関わりたい方
通所リハビリ(デイケア)
- ・集団・個別リハビリを組み合わせる
- ・比較的規則的な勤務時間
- ・利用者との継続的な関わり
👤 生活に根ざしたリハビリ・ワークライフバランス重視の方
小児・特別支援
- ・発達支援・感覚統合・学校との連携
- ・子ども・家族へのアプローチが中心
- ・長期的な発達を見守る
👤 子どもの成長に関わりたい方
自分に合う職場を見つけることが、長く働くための近道
PT・OT・STの平均勤続年数が短いのは、「この仕事が続けにくいから」ではなく、職場との相性を見極めながらキャリアを積んでいる人が多いからだと考えられます。
「転職=失敗」ではありません。今の職場で感じている違和感が、実は「職種の問題」ではなく「職場との相性の問題」である可能性は十分あります。
まずは「どんな働き方をしたいか」を考えることから始めてみましょう。それが、次の職場選びの一番の軸になります。
参考・出典
- ・厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成30年)
- ・セラピストプラス(マイナビコメディカル)「理学療法士の離職率」
- ・公益社団法人 日本理学療法士協会 統計情報(https://www.japanpt.or.jp/activity/data/)