転職を決意しても、次に待っているのが「今の職場にどう伝えるか」という関門。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は担当患者さんを持つ仕事だからこそ、伝えるタイミングと引き継ぎへの配慮が円満退職のカギになります。
この記事では、いつ・誰に・どう切り出すかから、引き止めへの対応、担当患者さんの引き継ぎまで、退職の伝え方を順番に解説します。
📌 先に結論:円満退職の3点セット
- 12〜3ヶ月前に、直属の上司へ最初に伝える(同僚より先)
- 2理由は前向きなもの+感謝で。不満は引き止めの材料になる
- 3退職日を明言し、担当患者さんの引き継ぎを丁寧に
退職までのスケジュール(3ヶ月前から)
直属の上司に「相談」の形で切り出す
法律上は2週間前でOKですが、リハ職は担当患者さんの引き継ぎ・後任の確保に時間がかかるため、2〜3ヶ月前が円満退職の目安。就業規則に「◯ヶ月前までに申し出」と書かれていることも多いので先に確認を。
退職日を確定し、退職届を提出
上司と相談して退職日を決め、正式に退職届を出します。ボーナス支給後・年度末(3月)は退職者が多い時期。職場の繁忙期を避けると印象よく進みます。
担当患者さんの引き継ぎ
リハ職の退職で最も大切なパート。担当患者さんの目標・経過・注意点を後任に文書で残し、可能なら同席して引き継ぎます。「あの人は最後まで丁寧だった」という評判は、狭いリハ業界で自分を守る財産になります。
備品返却・挨拶・事務手続き
保険証・職員証・ユニフォームの返却、離職票・源泉徴収票の受け取り確認。お世話になった多職種のスタッフへの挨拶も忘れずに。
※ 法律上は2週間前の申し出で退職できます(民法627条)。2〜3ヶ月前はあくまで「円満に辞めるため」の目安です。
誰に最初に伝えるか——順番を間違えると噂が先に届きます
最初に伝える相手は直属の上司(リハ科の科長・主任など)です。仲のいい同僚に先に話すのは危険。噂は驚くほど速く広がり、上司の耳に「本人以外から」届いた瞬間、円満退職の難易度が一気に上がります。
「上司との関係が悪いから言いにくい」という場合でも、順番は変えないのが鉄則。定期面談や意向調査のタイミングがあれば、その場を使うと自然に切り出せます。
場面別・伝え方の例文(NG/OK比較)
切り出し方ひとつで、その後の3ヶ月の空気が変わります。
❌ NG
「辞めたいんですけど…」(突然・あいまい)
✅ OK
「今後のことでご相談があります。お時間をいただけますか」
いきなり結論を言わず、まず1対1で話す時間をもらう。人前や忙しい時間帯を避けるのがマナーです。
❌ NG
「◯◯が不満で、続けられません」(不満ベース)
✅ OK
「一身上の都合により、◯月末で退職させていただきたいと考えています」
「退職を考えている」ではなく「退職したい」と意思をはっきり。時期を明言すると引き止めの余地が減ります。
❌ NG
「給料が低いので」「人間関係が…」(改善案で引き止められる)
✅ OK
「別の領域に挑戦したく、決意しました。こちらで学んだことを活かしていきたいです」
不満を理由にすると「改善するから残って」と引き止める材料を与えます。前向きな理由+感謝の一言が円満への近道。
よくある引き止め3パターンと返し方
人手不足のリハ現場では、引き止めはほぼ確実にあります。事前に返し方を用意しておくと動揺しません。
「給料を上げるから残ってほしい」
気持ちは嬉しいが、待遇ではなく自分のキャリアの方向性で決めたこと、と伝える。ここで揺れると話が振り出しに戻ります。そもそも辞意を伝えてから出る昇給案は、最初から払えた金額とも言えます。
「後任が見つかるまで待ってほしい」
「◯月末までは全力で引き継ぎます」と期限を区切って協力姿勢を見せる。無期限に延ばされるのを防ぐため、退職日はずらさないこと。人員補充は本来、管理者の仕事です。
「今辞めたら患者さんが困る」
リハ職が一番心を揺さぶられる言葉。だからこそ引き継ぎ書と後任への申し送りを丁寧にやる、と具体策で応える。患者さんへの責任は「辞めないこと」ではなく「きちんと引き継ぐこと」で果たせます。
退職を切り出す前に、次を決めておくと迷わない
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よくある質問
Q. 退職はメールやLINEで伝えてもいいですか?
A. 最初の申し出は対面が原則です。メールやLINEだけで済ませると不誠実な印象になり、その後の手続きがぎくしゃくしがち。まず口頭で伝え、退職届など正式な書面はその後に提出する流れが円満です。
Q. 引き止めがしつこくて退職日が決まりません。どうすれば?
A. 退職の意思と日付を書面(退職届)で明確にしましょう。法律上、期間の定めのない雇用契約は2週間前の申し出で退職できます。就業規則より民法が優先されるため、「辞めさせてもらえない」状態は本来あり得ません。どうしても難しい場合は労働基準監督署や退職代行という手段もありますが、その前に書面提出で解決するケースがほとんどです。
Q. ボーナスをもらってから辞めるのは印象が悪いですか?
A. 問題ありません。ボーナスは在籍期間の労働への対価です。支給日に在籍していることが条件のことが多いため、支給規定を確認し、支給後に退職を申し出るスケジュールを組むのは合理的な判断です。
Q. 退職を伝える前に転職先を決めておくべきですか?
A. 先に決めておくのが安全です。収入の空白を防げるだけでなく、「次が決まっている」ことで引き止めを受けても意思が揺れにくくなります。在職中の転職活動は時間のやりくりが大変ですが、転職エージェントに日程調整や条件交渉を任せると負担を大きく減らせます。
「伝え方」で最後の印象は変えられる
退職は職場への裏切りではなく、働く人の正当な権利です。ただ、リハ業界は狭く、どこかでまた一緒に働く可能性もある世界。だからこそ、2〜3ヶ月前の申し出・前向きな理由・丁寧な引き継ぎという「伝え方」で、最後の印象をきれいに整えて去るのが、自分の未来への投資になります。
退職を切り出す勇気が出ないときは、先に転職先を固めてしまうこと。「次がある」という事実が、一番の支えになります。